掲載日:2022年8月12日
令和4年度 民家園の夏を楽しもう「夜まで民家園」では、開園時間を20時まで延長し、普段は見られない夜の古民家をお楽しみいただけます。
ここでは、「暮らしの中の水」をテーマとして、8月13日土曜日に開催を予定していた内容の一部をご紹介します。
◇朝顔
朝顔は、夏の風物詩として、多くの人に親しまれていますが、夏から秋にかけて花を咲かせることから、俳句などでは秋の訪れを告げる花として、初秋の季語になっています。
江戸時代には、観賞用として改良された朝顔が、庶民にまで広がり、大流行をもたらしました。
庭がなくても鉢植えで十分に楽しめる手軽さが、今日でも、多くの庶民にまで浸透している理由かもしれません。
写真1 「民家園の夏を楽しもう 夏の暮らし再現」の朝顔展示。
写真2 朝顔の花から色水も作ることができる。
◇水汲み
生活に必要な水を井戸や川から得ていた時代には、毎朝水を家に運ぶことが行われていました。水汲みは、主に嫁や子どもの役割でした。
桶で運んだ水は、家の流し近くにある水瓶に溜め、炊事や飲み水に使いました。また、盥(たらい)に水を溜めて洗濯や洗い物に使いました。風呂桶に溜める作業は重労働であったため、井戸から直接風呂桶に水を流すための樋を設けた家もありました。
区内では井戸がある家も少なくありませんでしたが、用賀では、井戸が枯れた時には多摩川まで水汲みに行くこともあったそうです。
写真3 炊事、洗濯、風呂などで桶を使う場面が多かった。
◇井戸と流し
世田谷の農家では、屋敷の主屋の裏に井戸がある家が多く見られました。また、井戸を屋敷の中に複数設けたり、主屋の中に備えた家もありました。
井戸端の洗い場は、鍋や野菜を洗ったり、洗濯をする場所として使われました。
家の中には、炊事をするための場所として流しがあり、水を溜めておく水瓶を横に置いていました。流しの水は壁の外に排水され、使用した水を屋外の水瓶に溜めておけるようになっています。
床上に座って使う「座り流し」は、古くは木で作られ、水捌けがいいように流しにすのこを敷くこともありました。生活の変化により、時代と共に「立ち流し」へと変わっていきました。
写真4 炊事などに使われた、家の中の座り流し。
◇雨乞い
日照りが続くと、村人は大山阿夫利神社(神奈川県伊勢原市)由来の竜神水を村へ持ち帰り、雨乞いが行われました。
村では、御神体となる藁でできた作り物の大蛇やサシなどが用意されます。人々は用水堀などに入り「懺悔 懺悔 六根清浄(さんげ さんげ ろっこんしょうじょう)」などと唱えながら水を浴びて降雨を祈願しました。
写真5 世田谷区教育委員会が平成14年に、岡本自治会にご協力いただいて再現した。(個人所蔵)
写真6 大蛇やサシ、竜神水の容器は村人によって制作された。
◇川と人々
かつて河川や用水は、水田、野菜の洗い場、水車稼業といった生業に使用されたほか、物資の運搬や漁撈、炊事や洗濯など生活する上でも不可欠でした。
そのため、河川の整備や用水の普請など、村中の人々が様々な場面で協力して管理してきました。
当時は、身の回りの自然環境と生活が今日よりも密接に関わっていたといえます。
写真7 昭和はじめ頃、大蔵付近にあった次大夫堀の洗い場風景。(世田谷区教育委員会所蔵)
◇盆の迎え火
世田谷では、7月または8月に先祖の霊を供養する盆行事を行っていました。
この時、家の仏壇前に造った盆棚にはボタモチや野菜など様々なものが供えられ、また、お寺の住職によって読経されました。
8月13日頃には、家族がたいまつやちょうちんを持って迎え火を焚き、先祖を家に迎え入れました。
写真8 暮らしの歳時記「民間暦」の盆棚展示。
写真9 暮らしの歳時記「民間暦」の盆の迎え火、送り火用具の展示。
9月の「夜まで民家園」は「火のある暮らし」をテーマに、体験や解説会、展示を行います。
是非お越しください。
日にち | 令和4年9月17日土曜日 |
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場所 | 世田谷区立次大夫掘公園民家園 |
時間 |
20時まで開園延長。 16時から園内で体験や解説会、展示を行います。 入園は19時30分まで、16時30分以降は正門からのみ入園できます。 |
対象 |
どなたでもご参加いただけます。 |
費用 |
無料 |
その他 |
天候等により内容を変更する場合や、中止になる場合があります。 |