掲載日:2024年7月20日
令和6年度 民家園の夏を楽しもう「夜まで民家園」では、開園時間を20時まで延長し、普段は見られない夜の民家園をお楽しみいただけます。
ここでは、7月13日土曜日に「くらしの中の水」をテーマとして開催した内容の一部をご紹介します。
また、9月には「火のあるくらし」をテーマに開催を予定しています。詳しくはページ末をご覧ください。
◇朝顔
夏の風物詩として多くの人に親しまれている朝顔は、江戸時代に観賞用として改良され、庶民にまで広がり、大流行をもたらしました。
庭がなくても鉢植えで十分に楽しめる朝顔の生長から夏を感じ、心の安らぎとともにつかのまの涼しさを得ていたことでしょう。
写真1 「民家園の夏を楽しもう 夏の暮らし再現」の朝顔展示。
写真2 朝顔の花から色水も作ることができる。
◇井戸端
水道がなかった頃、水を使う時には、井戸や川から汲(く)み、使用する場所に必要な量を運んで使っていました。
農家の井戸端では、たらいで洗濯をしたり、出荷前の野菜を洗ったり、米研ぎなど食事の準備をしたりするほか、風呂桶(ふろおけ)を置いて入浴する家もありました。
主屋の中には、流しの横に水瓶(みずがめ)があり、井戸から汲んだ水を溜(た)めておき、炊事(すいじ)や飲み水などに使用していました。水瓶や風呂桶などへの水汲みは、主に女性や子供の仕事で、毎日水の入った手桶(ておけ)などで何度も運ぶ必要があり、大変な重労働でした。
写真3 井戸端で使われていた、たらい、手桶、風呂桶など。
◇流しと風呂
昔の家の中には、カッテなどと呼ばれる部屋に流しがあり、近くには水を溜めておく水瓶を置いていました。流しの水は建物の外に排水され、屋外の水瓶に溜めておけるようになっています。
床上に座って使う「座り流し」は、古くは木で作られ、流しにすのこを敷くこともありました。また一日の農作業を終えると、井戸近くや土間に置いた風呂桶に湯を溜め、風呂に入り、汚れや疲れを落としました。
写真4 炊事などに使われた、家の中の座り流し。
◇川の漁
昭和40年ころまで、村を流れる多摩川や野川などの河川、用水堀(ようすいぼり)、田んぼなどの水辺では、年間をとおして、マルタ、アユ、ウナギ、ドジョウ、シジミなどの様々な魚介類がとれました。
農業などの副業として稼ぐ人や、食卓のおかずとりや仲間と楽しみで行う人など、子どもから大人まで、暮らしのなかで漁は日常的に行われていました。
写真5 網(あみ)、釣竿(つりざお)、銛(もり)、筌(うけ)など、魚介類の大きさや習性、漁をする人の目的や技量などに応じ、多種多様な漁具が使われました。網などは買うこともありましたが、身近な素材で自作することもありました。
写真6 漁具は、補修などの手入れをしながら大切に使われました。
◇村と川
かつて河川や用水は、水田、野菜の洗い場、水車稼業といった生業に使用されたほか、物資の運搬や漁撈、炊事や洗濯など生活する上でも不可欠な場所であり、身近な場所でした。
そのため、河川の整備や用水の普請など、村中の人々は様々な場面で協力して管理してきました。
当時は、身の回りの自然環境と生活が今日よりも密接に関わっていたといえます。
写真7 昭和はじめ頃、大蔵付近にあった次大夫堀の洗い場風景。(世田谷区教育委員会所蔵)
◇盆の迎え火
世田谷では、7月または8月に先祖の霊を供養する盆行事を行っていました。
この時、家の仏壇前に造った盆棚には、収穫した野菜や料理など、様々なものが供えられました。
盆の始まりの日、7月13日頃には、家族がちょうちんやたいまつを持って墓や辻などに行き、迎え火を焚いて先祖の霊を迎えました。
写真8 暮らしの歳時記「民間暦・盆」 盆棚の再現展示。
写真9 かつては、迎え火や送り火では小麦の麦殻を焚きました(再現)。
9月の「夜まで民家園」は「火のあるくらし」をテーマに、体験や解説会、展示を行います。
ぜひお越しください。
日にち | 令和6年9月14日土曜日 |
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場所 | 世田谷区立岡本公園民家園 |
時間 |
20時まで開園時間を延長し、展示や解説会、体験イベントを行います。 入園は19時45分まで。16時30分以降は正門からのみ入園できます。 |
対象 |
どなたでもご参加いただけます。 |
費用 |
無料 |
その他 |
天候等により内容を変更する場合や、中止とする場合があります。 |