掲載日:2020年9月15日
6月18日より行っていた旧長崎家住宅主屋の茅葺き屋根修理工事が8月12日に終わりました。
<左写真:修理前(令和2年6月19日撮影)><右写真:修理後(令和2年8月12日撮影)>
修理前の屋根表面は草や苔が生えていたり、くぼんで傷んでいました。修理後の屋根表面の様子です。
修理は、屋根表面の茅の傷んでいる部分を取り除き、葺いてある茅を生かしながら、新しい茅を補充する方法で行われました。
工事がどのように行われたか、写真で振り返り報告します。
1.屋根表面の苔や草と茅の傷んだ部分を取り除きます。
<屋根表面に草や苔が繁茂している様子(令和2年6月19日撮影)>
屋根の表面の茅は、風雨にさらされて弱くなり先端から風化し、屋根の嵩(かさ)が減り、厚みも薄くなっていきます。
草や苔が生えていた部分は、湿気を多く含み茅が腐って土のようになっていました。
このような状態で傷みが進行していくと、雨漏りの原因になるため、早めの修理が必要です。
2.屋根の茅を引き出します。
<軒と屋根表面の間の茅を引き出した様子(令和2年6月26日撮影)>
屋根に葺かれている茅は、2~3mの長さがあり、穂を上にして葺かれています。
嵩が減り薄くなった屋根の厚みを戻すために、屋根の茅を引き出します。
茅を引き出すと、屋根の中に入っていた傷んでいない部分が表れます。
こうすることで、屋根の厚みを戻しながら、耐久性のある茅を表面に表すことができます。
3.新しい茅を差し込みます。
茅を差し込む様子(令和2年7月16日撮影)
茅の傷みが激しい部分は周りに比べて表面の茅が減っています。
また、茅を引き出すと、屋根の奥に入っていた穂先の位置が変わり、上部に隙間が生まれます。
こうした茅の減っている部分や隙間には、長さ90センチほどの新しい茅の束を差し込みます。
新しい茅は引き出した茅と一緒に先端をたたき込んで屋根に押し込むことで、屋根表面を平らにします。
このように、屋根の嵩を増して表面の茅の密度を高めて均一にしていくことで、雨水が屋内に浸透しにくくなります。
4.屋根表面を刈り込み仕上げます。
屋根表面を刈り込んでいる様子(令和2年7月30日撮影)
最後に屋根表面を棟から軒に向かって下がりながら鋏で刈り込みます。
刈り込みを行うことで、より屋根表面を平らになり、茅先の水の切れが良くなるため、雨水を素早く下へ流すことができるようになります。
修理を終えてきれいになった茅葺き屋根を見に、ぜひ岡本公園民家園へお越しください。
工事請負 株式会社 関工務所(群馬県)
茅屋根工事 かやぶき五十嵐(群馬県)