昭和40年代、高度経済成長期における国土開発や生活環境の変化によって、風土とともに培われてきた伝統的な日本の民家は急激に姿を消していきました。
世田谷区では、昭和52年の世田谷区文化財保護条例の施行をきっかけとして区内に残る民家の調査が行われ、そのうち7棟の建造物が世田谷区の指定文化財として、岡本公園民家園・次大夫堀公園民家園に保存されています。
現在、岡本公園民家園に移築復原されている旧長崎家住宅主屋の保存にあたっては、昭和52年に建築調査団長であった稲葉和也氏の「民家保存の意義と理念」で提唱された「空き屋を保存するのでは民家ではない」といった考えのもと、より「民家」らしくあるため様々な保存の方法が検討されました。
特に「生活の様子を出来るだけ伝えるように」試みられた防火対策、構造の補強、利活用の検討は新しい民家保存のあり方を示したものとなりました。
こうした考えは、岡本公園民家園・次大夫堀公園民家園における運営に今なお息づいています。
昭和50年 | 世田谷区古民家調査開始。 |
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昭和52年2月25日 | 報告書「世田谷の古民家」を発行。 |
昭和52年3月31日 | 「世田谷区民家園(ふるさと公園)設立計画書」が提出される。 |
昭和52年4月1日 | 東京都世田谷区文化財保護条例、同施行規則が公布される。 |
昭和52年4月20日 | 岡本公園が古民家復原候補地として選定される。 |
昭和52年8月4日 | 長崎家の解体工事開始。 |
昭和52年8月9日 | 長崎家が世田谷区有形文化財第1号に指定される。 |
昭和53年3月中 | 浦野家土蔵の解体開始。 |
昭和54年5月31日 | 旧長崎家の復原工事はじまる。 |
昭和54年8月27日 | 旧長崎家住宅主屋の上棟式を行う。 |
昭和54年10月19日 | 台風20号により工事中の長崎家が倒壊。 |
昭和55年2月20日 | 浦野家土蔵の上棟式。 |
昭和55年11月29日 | 岡本公園民家園開園式。 |
昭和55年12月2日 | 一般公開を開始。 |